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「総司 炎の如く」

おまけに感想ばかりじゃつまらないかな、と思い、絵の制作過程なぞちょろっと。(いやそれもつまんないよな…)
影つけを終えたあとの塗り工程。(SAI使用)
先日グレー一色でつけた影レイヤーをレイヤーマスクとして使用、各色三段階で塗り分けます。
20120627-4.pngこのあと各部の色を微修正。頬とか目とかツヤとかあとで塗ります。


今日の感想は「総司 炎(ほむら)の如く」(秋山香乃)。

読みやすい文章で、内容も面白かったです。たたみます。



面白かったんですが、原沖的なシーンはこれっぽっちも、ほんとに何もありませんでした(笑)。
そこがちょっとさびしかったかな。

「天然理心流の天才剣士」という点にスポットを当てて沖田総司を描いた一冊。

この本の特色

・総司が人を斬る事を楽しんでいるような記述が多い。人を斬りたくて病床を抜け出し町に出るシーンすらある。
人を斬り始めた当初は、相手の命の落ちる瞬間を剣ごしに味わっているような場面もある。
芹沢とも、寝込みを襲うのではなく、正面から正々堂々と挑んでみたかったと思っている。

・芹沢襲撃、池田屋襲撃…共に原田左之助が除外されている。
(歴史小説ではそのへんをいつも楽しみに読んでるので、左之さんに出番がなくて軽く衝撃だよ…あれ目から汁がw)

・さらに、近藤が医師から総司が労咳であると知らされショックを受けるくだりでは
「近藤と原田左之助以外の試衛館のメンバーはすでに総司の病状を知っていた」ってことに。
左之さん、蚊帳の外www 
……まあその……原沖とかどうとか語れる設定じゃないのがこの本の唯一切ないところ。(苦笑)


・総司と平助が仲良し設定で、二人の会話が多かった。

・近藤の養子となる谷周平がかなりクローズアップされている。

周平と総司との間で、天然理心流の跡取り問題が持ち上がる。本来なら流派を継ぐために養子にされた周平なのだが、どんなに努力しようと天才である総司の境地に達する事が出来ないと悟るや、総司への嫉妬や養父の冷たい仕打ちにいらだち、周平と総司との関係は次第にこじれてゆく。

鳥羽伏見の戦いで、恐れをなした弱腰の周平はいつしかどさくさにまぎれて行方をくらました、という本が多い中、ここでの周平は裏切り者となり粛清された兄の汚名を背負ってなお、新撰組に踏みとどまる道を選び、総司の最期まで付き従う好青年として描かれている。

・誠試館時代に友となった長州藩士・久保裕次郎。その友と敵として再会し、幾度か衝突、そして訪れる別れ。

池田屋襲撃で、総司は裕次郎を逃がしてやるんですが、その時に血を吐き裕次郎に労咳だと知られるんですよね。
逃がしてもらいながら「すぐに医者に行くんじゃ」と友を気遣う裕次郎。

敵の中に友人がいた事、自分が喀血した事、それらの衝撃から総司は師の教えに反し、獣に堕ちる決意をして剣をふるうようになる。
(人を斬れば獣になる、という師の言葉に縛られ、獣にはなりたくないとずっと思い続けていたから) 
総司の剣はこの日を境に誰の目から見ても一層洗練され卓越した境地のものとなるのだが、それはいつか努力すれば総司の域に到達できると信じていた周平に衝撃と絶望を与える結果となる。

・山南が思慮深い性格で、己を曲げずに士道を貫いた人間として描かれている。
 
西本願寺への屯所移転問題。土方の武士とは思えぬ西本願寺への悪質な仕打ちを見かねた山南は、屯所移転に大反対。
これが聞き入れられなかった事で、彼は隊規にもとづく切腹覚悟の脱走をあえて試みる。

山南の脱走を告げる置き手紙を発見したのは周平。これを土方には見せられないと判断した彼は、総司に見せて山南救出の判断を仰ぐのだが、手紙から山南の覚悟を読みとった総司は結局土方にこれを見せてしまう。
山南を大津の茶屋で見つけた総司は、彼とそこで一泊して昔の思い出などを語り明かし、翌日屯所に連れて帰る。
総司は山南の切腹の介錯をした。
死後に読むようにと山南から彼の親しかった各人へ手渡された手紙には、誰の胸にも深い傷が残らぬようにという配慮がこめられていた。総司へはありがとうという内容の手紙が。
土方への手紙には、総司の病に気付いているならそろそろ養生させてやってはどうかと病状を気遣う内容が書いてあり、山南の優しさに総司は涙する。

・植木屋の離れに住まうことになった総司には谷周平が世話人としてつくことになる。
甲陽鎮撫隊として甲州へ出立する近藤と土方が共に総司の元へ見舞いにくる。
総司の刀と土方の写真を互いに交換するが、これが土方との今生の別れとなる。

・さらにその半月後、近藤だけが総司を訪問し、総司に天然理心流の指南免許の免状を渡す。
(天然理心流では免許の上に印可、その上に指南免許があり、指南免許は滅多に貰えるものではない)
先生、これは…と尋ねる総司の声が震える。
ここでの近藤とのやりとりが泣ける。近藤さん超男前。そりゃ総司も心底惚れるわ。
自分的にはここがクライマックスだったかと。
会話だけ抜粋。

「宗家を譲るといつか云ったが、あのころはバタバタしていて渡しそびれていたろう」

「でも、これはわたしにはまだ、早い代物です」

「何、云いやがる。一つの境地に到達したもんが早いなら、誰にだって早いってもんだ。総司、師ってェもんは何が一番嬉しいか知っているか」

「いいえ」

「自分を倒す弟子の出現だろうよ。俺はそうだ。嬉しいよ、おめェに会えて」

「もったいないお言葉です」

「総司よ、覚えているか、おめェが俺を初めて試合で負かした日を」

(ちなみにそれは総司が近藤さんに惚れなおした日ですww)

「義父はおめェに難しいことを云ったようだが、俺は鼻が高かった。おめェはいつだって俺の自慢だ」

「先生! 先生、離れたくありません。私も連れていってください。わたしも一緒に戦います。ずっと一緒に……」

(総司号泣。背中を軽く叩いて落ちつかせてくれる近藤……)

「一度、先生に思いきり我侭を云ってみたかったんです。すみません」

「連れていく」 (え?)

「江戸の戦がいけねェようなら、会津を目指して北上しようと話が出ている。そのときは、必ず連れていく。迎えにくる。待っていろ」

(行けないのは自分が一番よくわかっているが総司は必死に頷く。で、しばらく思い出話したあと刀を掴んで立ちあがる近藤)

「総司、行ってくるぜ、総司」

「近藤先生、武運を」

この本の総司は「近藤さんに惚れぬいて、近藤さんに捧げた一生はただひたすら幸せだった」といった感じです。
悔いがあるとしたら、近藤さんと共に最期まで戦う事が出来なかった事だろうなと。

・総司の最期
「武士なら討ち死に以外では、畳の上に端座して逝くべきだ」という斎藤さんの言葉に従って死のうと、もうほとんど動くことのできない体を必死に動かして、座ろうと試みるもあえなく失敗。
もう座るだけの体力すら残ってないんですが、芹沢さんから似非(エセ)侍と罵られた事を思い出し、なんとか武士として死のうと死力をふりしぼる総司。
病魔には勝てずとも、武士として最期まで形にこだわりたいと願った最期は壮絶でした。

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【プロフィール】
隠れ腐女子で隠れ絵描き。アルビノスキー。
耽美系美少年の絡み絵を描くことが生きがい。

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