新選組秘帖
※本日の更新…ギャラリーに「見つめ合う原沖」絵を1点UPしました。
今日の感想は「新選組秘帖」(中村彰彦)。
短編集。
この中の「明治四年黒谷の私闘」という章は、原田左之助生存説に基づいたお話なので、その部分のみ感想を。
たたみます。
せめて原田左之助ひとりぐらいは生きていて欲しかった…という思いで構想したとあとがきにあるのがこのお話。
あの左之さんが、実は生きており、もちろん身元を偽って元の妻子とひっそり暮らしている……というドキドキ設定。
そういえば、新撰組関連のどの小説読んでも必ず左之さんは「美男」「西洋の彫刻のような整った顔」とか書いてありますよね。ファンとしては嬉しい限り。
このお話でも
「耳が大きく目鼻だちのくっきりした色白面長の美男で、下腹に切腹疵を縫った痕のある屍はなかったか」
なんて表現が出てきます。
左之さんの死体を探す手掛かりが「切腹疵のあるイケメン」って…………
一体どれほどの美形だったのか大変気になるところです。
でも写真に残ってたら、ここまでイケメン伝説が広まってたかどうかはわかんないよね(オイ)。
カズキヨネさんの麗しい左之さんを脳裏に浮かべながら読むと、こういうおかたい歴史小説もあら不思議、萌える萌えるww
(ぶっちゃけ、この「新選組秘帖」という小説ですが、薄桜鬼に出てくるようなメインキャラが出てこない上に、文章は大変かたく、読みすすむのがしんどかったです。左之さんのお話と、ラストのお話はスリリングで面白かったですが)
上野の山で彰義隊として散ったと言われてる左之さんですが、彰義隊の名簿には名前がない。
それに新撰組幹部だった原田左之助がもし加盟していたのなら、ヒラ隊士であったはずがない───
つまり左之助は上野で死んだのではなく、生きて妻子の元に戻ったのではないか??
その事に気付いた水野八郎(元の名を橋本皆助・新選組に一時所属)は、原田を見つけ出し、その首を討ちとって名を上げようと、本妻の消息を辿り始める。
(元新撰組隊士ではあるけれど、水野は伊東派と共に新撰組を離脱したので、「伊東先生の仇討」という名目が成り立つ。当時まだ仇討は士族の権利だった)
京から去った本妻のおまさと子の茂の消息をつかんだ水野は、
おまさが実家で新たに婿養子を迎えた事を知るのだが、その再婚相手の名前が「左之治」だと知って、原田左之助が偽名を使って元の妻子と暮らしていると確信。やがて聞き込みによって原田の住まいを突き止める。
ちなみに水野の聞き込み。ここでも左之さんのイケメンっぷりが炸裂。
「こう耳が大きくて、背丈は五尺七寸ぐらい。目鼻だちのくっきりした、色白面長の苦み走った美男だぞ。たしか御新造さんはおまささんという名前だった」
「なら、間違いなくお隣の若旦那はんどす」
(ちょ……イケメン度高過ぎて隠遁生活なのに目立ちまくってる左之さん吹いたwww)
左之助の投獄が目的なら、府兵局に密訴すればよかったが、それでは手柄が府兵のものになってしまう。
腕利きを多数雇って斬殺し、かつての同志の仇を討ったと届け出るのが理想だが、加勢を集める金はない。
剣士の多かった新撰組で主だった戦闘には必ず参加していた原田だったが、水野が隊に参加したのは後年の事なので実際にその活躍を見た事がない。原田の得意なのは本来槍であるが、身をひそめて暮らす彼の手元に今その武器はない。
それに原田が名のある剣士とサシで勝負したという話も聞いたことがない。
さほど剣が得意でない原田ならひとりで討ちとれる。
水野も腕には相当の自信を持っているので、得意の薙刀を持参し一人で左之助を討ちとる事を決意。
槍を入手する暇を与えないタイミングを見計らい「出てこねば府兵局に訴え、女房子供まで巻き添えにしてやるぞ」という内容の呼び出し状を原田に送りつける。
以下、左之さんの台詞がかっこいいので、水野との会話のみ本文よりそのまま抜粋。
「その方、橋本皆助であろう。待ちかねておったぞ」
「おお、原田左之助か、臆病風にも吹かれずよくぞまいった。三年近くもうまく隠れおおせていたようだが、とうとう年貢の納め時だな」
「なにをひとりで力んでいやがる。今ごろどうして、おれに挑みたくなったのだ」
「決まっておろう。伊東甲子太郎先生の仇を報じるのよ」
「笑わせるな。うぬはたしか水戸天狗党くずれ。新選組入隊を願ったかと思えば高台党に走り、伊東らとともに動いても立身は図れぬと知るや陸援隊に尻尾を振った無節操漢じゃねえか。なにが伊東の敵討だ。その垢じみた身なりはいかにも食いつめた様子、さだめし官途にもつけなんだため、おれを討って名を挙げてえのだろうが、そうはいかねえ」
「やかましい。貴様が菅原左之治と変名していることを知っているのは、おれだけだと思うか。おとなしく首をよこさぬと、女房や餓鬼が泣きを見るぞ」
「仲間がおるのなら、隣近所の聞き込みまでなぜひとりでやっていた。いずれうぬのようなやつが来るかと思い、あたりの使用人には小銭をばらまいて、面妖なやつがあらわれたらすぐおれに注進するようにしてあったのだ」
「ふん、小心者の用心というやつだな」
(ここで八郎が薙刀の鞘をはらって構え、原田も抜刀する)
「ばかに古臭え得物を持ち出しやがったな。剣の巧者であれば、薙刀の攻めはことごとく封じきれると知らねえか」
「貴様がその巧者とは思えぬわ」
(で、ここからかっこよすぎる左之さんの太刀さばきが繰り広げられるんですが…割愛)
「ま、負けたよ。ひと思いに殺せ」
「そんな腕で、よくもおれを呼び出す気になれたな。だがもう、お互い剣を振るって名を挙げる時代でもあるめえ。おれももう人斬りにはうんざりだ。とどめは刺さねえでやるから、運がよければ生き延びろ。とにかく二度とおれの前にあらわれるな」
左之助がかくも卓抜な薙刀の封じ技を身につけているとは、八郎には思いも寄らぬことであった。────
左之助はこの後、ひとり京を離れ姿を消す。
水野八郎が何者かに斬られてこの日この場所で死んだ、と言う事だけは事実らしいです。
(その事実だけでこれだけの話が作れるってすごい)
これだけ目立つイケメンなら女には不自由しないだろうから、新天地で新しい女房もらってよろしくやってても全然不思議じゃない。それなのに身バレする危険を承知で元の妻子と共に暮らす道を選び、いざ危険が迫ったら妻子を守るために完全に姿を消す……。
か……かっこよすぎるにも程があるだろ左之さんwwwwww また惚れてしまうwwww(落ちつけ)
というか、この話は100%創作だよ♪とあとがきで明言してあるんだから、
左之さんがこんなにかっこいいっていう事はつまり……
作者は一体どんだけ左之さんの事好きなんだよwwwwって激しく突っ込むべきなんでしょうね。
左之さん最高。
今日の感想は「新選組秘帖」(中村彰彦)。
短編集。
この中の「明治四年黒谷の私闘」という章は、原田左之助生存説に基づいたお話なので、その部分のみ感想を。
たたみます。
せめて原田左之助ひとりぐらいは生きていて欲しかった…という思いで構想したとあとがきにあるのがこのお話。
あの左之さんが、実は生きており、もちろん身元を偽って元の妻子とひっそり暮らしている……というドキドキ設定。
そういえば、新撰組関連のどの小説読んでも必ず左之さんは「美男」「西洋の彫刻のような整った顔」とか書いてありますよね。ファンとしては嬉しい限り。
このお話でも
「耳が大きく目鼻だちのくっきりした色白面長の美男で、下腹に切腹疵を縫った痕のある屍はなかったか」
なんて表現が出てきます。
左之さんの死体を探す手掛かりが「切腹疵のあるイケメン」って…………
一体どれほどの美形だったのか大変気になるところです。
でも写真に残ってたら、ここまでイケメン伝説が広まってたかどうかはわかんないよね(オイ)。
カズキヨネさんの麗しい左之さんを脳裏に浮かべながら読むと、こういうおかたい歴史小説もあら不思議、萌える萌えるww
(ぶっちゃけ、この「新選組秘帖」という小説ですが、薄桜鬼に出てくるようなメインキャラが出てこない上に、文章は大変かたく、読みすすむのがしんどかったです。左之さんのお話と、ラストのお話はスリリングで面白かったですが)
上野の山で彰義隊として散ったと言われてる左之さんですが、彰義隊の名簿には名前がない。
それに新撰組幹部だった原田左之助がもし加盟していたのなら、ヒラ隊士であったはずがない───
つまり左之助は上野で死んだのではなく、生きて妻子の元に戻ったのではないか??
その事に気付いた水野八郎(元の名を橋本皆助・新選組に一時所属)は、原田を見つけ出し、その首を討ちとって名を上げようと、本妻の消息を辿り始める。
(元新撰組隊士ではあるけれど、水野は伊東派と共に新撰組を離脱したので、「伊東先生の仇討」という名目が成り立つ。当時まだ仇討は士族の権利だった)
京から去った本妻のおまさと子の茂の消息をつかんだ水野は、
おまさが実家で新たに婿養子を迎えた事を知るのだが、その再婚相手の名前が「左之治」だと知って、原田左之助が偽名を使って元の妻子と暮らしていると確信。やがて聞き込みによって原田の住まいを突き止める。
ちなみに水野の聞き込み。ここでも左之さんのイケメンっぷりが炸裂。
「こう耳が大きくて、背丈は五尺七寸ぐらい。目鼻だちのくっきりした、色白面長の苦み走った美男だぞ。たしか御新造さんはおまささんという名前だった」
「なら、間違いなくお隣の若旦那はんどす」
(ちょ……イケメン度高過ぎて隠遁生活なのに目立ちまくってる左之さん吹いたwww)
左之助の投獄が目的なら、府兵局に密訴すればよかったが、それでは手柄が府兵のものになってしまう。
腕利きを多数雇って斬殺し、かつての同志の仇を討ったと届け出るのが理想だが、加勢を集める金はない。
剣士の多かった新撰組で主だった戦闘には必ず参加していた原田だったが、水野が隊に参加したのは後年の事なので実際にその活躍を見た事がない。原田の得意なのは本来槍であるが、身をひそめて暮らす彼の手元に今その武器はない。
それに原田が名のある剣士とサシで勝負したという話も聞いたことがない。
さほど剣が得意でない原田ならひとりで討ちとれる。
水野も腕には相当の自信を持っているので、得意の薙刀を持参し一人で左之助を討ちとる事を決意。
槍を入手する暇を与えないタイミングを見計らい「出てこねば府兵局に訴え、女房子供まで巻き添えにしてやるぞ」という内容の呼び出し状を原田に送りつける。
以下、左之さんの台詞がかっこいいので、水野との会話のみ本文よりそのまま抜粋。
「その方、橋本皆助であろう。待ちかねておったぞ」
「おお、原田左之助か、臆病風にも吹かれずよくぞまいった。三年近くもうまく隠れおおせていたようだが、とうとう年貢の納め時だな」
「なにをひとりで力んでいやがる。今ごろどうして、おれに挑みたくなったのだ」
「決まっておろう。伊東甲子太郎先生の仇を報じるのよ」
「笑わせるな。うぬはたしか水戸天狗党くずれ。新選組入隊を願ったかと思えば高台党に走り、伊東らとともに動いても立身は図れぬと知るや陸援隊に尻尾を振った無節操漢じゃねえか。なにが伊東の敵討だ。その垢じみた身なりはいかにも食いつめた様子、さだめし官途にもつけなんだため、おれを討って名を挙げてえのだろうが、そうはいかねえ」
「やかましい。貴様が菅原左之治と変名していることを知っているのは、おれだけだと思うか。おとなしく首をよこさぬと、女房や餓鬼が泣きを見るぞ」
「仲間がおるのなら、隣近所の聞き込みまでなぜひとりでやっていた。いずれうぬのようなやつが来るかと思い、あたりの使用人には小銭をばらまいて、面妖なやつがあらわれたらすぐおれに注進するようにしてあったのだ」
「ふん、小心者の用心というやつだな」
(ここで八郎が薙刀の鞘をはらって構え、原田も抜刀する)
「ばかに古臭え得物を持ち出しやがったな。剣の巧者であれば、薙刀の攻めはことごとく封じきれると知らねえか」
「貴様がその巧者とは思えぬわ」
(で、ここからかっこよすぎる左之さんの太刀さばきが繰り広げられるんですが…割愛)
「ま、負けたよ。ひと思いに殺せ」
「そんな腕で、よくもおれを呼び出す気になれたな。だがもう、お互い剣を振るって名を挙げる時代でもあるめえ。おれももう人斬りにはうんざりだ。とどめは刺さねえでやるから、運がよければ生き延びろ。とにかく二度とおれの前にあらわれるな」
左之助がかくも卓抜な薙刀の封じ技を身につけているとは、八郎には思いも寄らぬことであった。────
左之助はこの後、ひとり京を離れ姿を消す。
水野八郎が何者かに斬られてこの日この場所で死んだ、と言う事だけは事実らしいです。
(その事実だけでこれだけの話が作れるってすごい)
これだけ目立つイケメンなら女には不自由しないだろうから、新天地で新しい女房もらってよろしくやってても全然不思議じゃない。それなのに身バレする危険を承知で元の妻子と共に暮らす道を選び、いざ危険が迫ったら妻子を守るために完全に姿を消す……。
か……かっこよすぎるにも程があるだろ左之さんwwwwww また惚れてしまうwwww(落ちつけ)
というか、この話は100%創作だよ♪とあとがきで明言してあるんだから、
左之さんがこんなにかっこいいっていう事はつまり……
作者は一体どんだけ左之さんの事好きなんだよwwwwって激しく突っ込むべきなんでしょうね。
左之さん最高。