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「新選組血風録 総司燃え尽きる」

例の「見つめあう原沖絵」(笑)は昨日完成しました。
左之さんの髪を短髪にするか、もしくは風呂上がりのざんばら長髪にするかで悩んだんですが、
結局いつもの左之さんに(笑)。
ura001.jpg
今回目指したのは「いちゃいちゃしてないけども、絡みあう視線に愛がにじみ出てしまう原沖」。
(目指す方向が既におかしい…)
後日web用に再加工してギャラリーにUPしますね。新刊の原沖表紙とノベルティに使用予定。
これで表紙絵は全部塗り終えたよ…。やっとこさ本文にとりかかれる…(遅)

では「新選組血風録 総司燃え尽きる」(笹沢佐保) の感想、たたみます。
(目が滑るほどの長文なので、特に読まなくていいですww)


(最初に断っておきます。超長いよww 人に読んでもらう感想、というよりもネタ帳としての自分用備忘録なあらすじメイン)

笹沢氏の著書をなんで楽しみにしてたかというと、
小学校高学年~中学校にかけて(大昔だな…)この方の図書館の蔵書を片っ端から読み漁った記憶があるからです。
(もともと、ひとつ読んで気に入った作家の本は片っ端から読む…という変な癖がある。しかし栗本薫氏の本は多過ぎて未だに全部読み切れていない)

思春期にハマった理由は単純明快。
推理小説として面白かったのはもちろんですが、この方の本はどれも濡れ場が多くて性描写が濃厚なものが多かったんですよねー。「堂々と手にする事が出来るエロ満載の本」という認識でした、当時は。
だからもう借りるのが楽しみで楽しみで。(だめだこの小学生なんとかしないと…)
うちは親が妙な所で厳格で、漫画と名のつくものは買うのはもちろん読むのも禁止。
テレビも子供向けのアニメとか自由に見れるのは、1週間でたったの2時間…ひでえww
(NHKニュースとプロ野球は自由に見れた…親の趣味じゃねえかww)

あまりにも子供時代に抑圧しすぎて色々とひんまがった大人になってしまったんでしょうね……つくづくガス抜きって大事だなと(笑)。

あ、えらく私ごとで脱線してすみません。本の感想(…というか自分用備忘録なので、あらすじがほとんどですが)いきます。

一言で言うと大変面白かったです。
ラストでの伏線の回収がもう文句のつけどころのないほど見事で、ああ…流石だなと唸るしかなかった。

個人的にはこれまで読んだ新撰組関連本の中で一番良かった。

どの本の人物設定よりも自分の中に驚くほどしっくりと収まるのは、
もしかしたら子供時代、この本を読んだことがあったのかもしれない…
自分にとっての「新選組」を決定づけた本なのかもしれない……読み進むうちに、なんとなくそう思ったりもしました。
(本として発表された時期を見ると、可能性はある。この人の推理小説は片っ端から読破したんだけど、歴史小説まで手を出したかどうかは覚えていない)

ここでの近藤勇は、武士の子ではないという劣等感から、より熾烈に士道を極めたがる男として描かれています。

特に京にのぼってからその傾向は顕著になり、二言目には士道を持ちだして気に入らぬ隊士に切腹を強要。

沖田総司の事も、「徹底的に利用できて、忠実そのものの便利な道具」「人斬り包丁」という認識で汚れ役を全て任せきっているという設定。

総司は自分には人斬りの役目しか与えられない、という事をわかっているけれども、その役目に対する度胸を決めており、近藤さんに背く事などは考えたこともない。
ただ、士道士道と言うわりには、卑怯な暗殺と理不尽な粛清を数多く繰り返している点のどこが士道なのかと。
不逞浪士ではなく、仲間を斬らされてばかりいる総司の心は次第に冷えつつあり、近藤の事をもちろん批判しようとはしないものの、苦悩を募らせていく。
その苦悩を読みとっていた山南は、いつも仲のいい総司と二人きりになると、変貌した近藤への不審や局中法度書への批判、自分を冷遇する土方への愚痴などを遠慮なくぶちまけ、総司は聞き役に回る……山南さんと総司の関係はそういう感じ。
土方さんも山南さんも同様に兄のごとく慕っている総司は、いつか仲の悪い二人が表だって衝突するのではと危惧しつつ、傍観者として黙って見守っている。

(総司が人を多く斬り殺しても、子供達とよく遊び、いつもにこにこと無邪気な様子であった…という記述の本が多いが、著者はそこに疑問を呈している。もし本当に人を殺して良心の呵責もなくいつもにこにこできる人間がいたら精神的におかしいとしか思えない、そういう無邪気な笑顔は他人の家の釜の飯を食べて育った苦労人の総司が演じる「人前で作るもう一つの顔」であり、本心では人を斬り続ける事にも苦しみ葛藤していた、という人物像になるって訳ですかー。なるほどなぁ…)

総司は、試衛館時代に宮川亀太郎と決闘する事になったが、急用で遠方に出立したため来れなくなった旨を告げにきた男の許嫁・千鶴を闇夜で判別がつかずに誤って斬ってしまった事がある。(千鶴って……えええ)

即死ではなかったため、慌てて彼女を自宅まで送り届ける総司。
千鶴は、「辻斬りに遭って斬られた所を総司に一命を助けられた」と家人に嘘をつき通して最期まで総司をかばってくれたが、見舞いに来た総司に青銅の懐中鏡を残して死んでしまう。
以来、総司は人を斬るたび虚ろな目でこの鏡を取り出して報告するようになるのだった。

やがて労咳ではないかと自分でも気づくようになった総司は、当時は伝染病として隔離されるのが普通だった病と知られる事を恐れ、病気であることをひたすら隠し通そうとする。

(近藤さんや土方さんに心配をかけたくないから黙っている、という設定が多いけれど、知られて差別を受ける病気の場合、隠し通そうとする心情の方が、自分的には納得しやすいというか、しっくりくるというか。
私は不治ってだけで、別にすぐ死ぬわけじゃないし伝染する類でもないんですが、労咳という忌み嫌われた病名を明かせず、周囲に知られる事を極度に恐れたこの本での総司の気持ちは痛いほどわかる)

芹沢グループを粛清した後、ただ一人残った芹沢派の野口を取り込もうとして失敗に終わった近藤は、士道不覚悟で野口に切腹を命じ、その介錯人に総司を指名するのだが、総司は健康上の理由でこれを断る。
総司が近藤の命令を拒否したのはこれが最初で最後。

総司の代わりに介錯人を務めた安藤に同情した総司は、気晴らしをしたいという彼に誘われるまま、初めて島原の遊女と床につくが、そこで血を吐いてしまう。
総司が労咳であると即座に気付いた女の態度は、手の平を返したように豹変、
それに気分を害した総司は即刻島原を後にする。

島原からの帰り道、五条大橋の上で、宮川亀太郎と再会する総司。
互いに京では新撰組と長州の攘夷浪士。敵関係にあると気付き抜刀する。
だが、再び出会っても斬り合いなどしないで欲しいという千鶴の願いを知っている総司は斬りたくないと言い、
許嫁の命を総司に救ってもらったと信じこんでいる宮川も、貴公には借りがあるので斬りたくはない、と告げ、二人は刀を鞘に戻し、組織の一員ではなくただの一私人として語り合う。

総司が屯所に戻った時には、既に土方の放った密偵が、総司と宮川との接触を土方に知らせた後だった。

昔のように自分と近藤に忠実ではなくなった総司を嘆き、何を話していたのかと問い詰める土方だったが、土方の芝居や目論見を見抜いている総司はうまくその場を言い逃れる。
しかし密偵によって宮川の素性から居場所から何もかも土方に割れている事実を知った総司は、宮川が近いうちに新撰組によって殺される事になるだろうと知る。

そして病床に伏せっていた総司に、宮川を斬れという土方の命令がついに下る。

新撰組の粛清や暗殺では、まるで踏み絵のように、殺される隊士と親しかった者が討手や介錯人に選ばれ、けじめをつける事が求められる。
(司馬遼太郎の血風録にも、そういう話が多かったね。原田左之助が、同じ妻子もちである十番隊の鹿内薫を士道不覚悟で斬るよう土方に命じられたのも、「妻子に後ろ髪をひかれて臆病な働きしか出来ない時は、お前も同じ目にあうぞ」という戒めの意味が含まれていた。薫に女ができた時も子供ができたときも自分のことのように喜んだ原田が、臆病風に吹かれたという理由で同じ隊で働いてくれた隊士を殺したくはなかっただろうけど、ここでけじめをつけないとのちのち自分が斬られる事をすぐに察し、土方の命に従った。左之さんは空気読める男だな…ってえらい脱線しすぎてすみません)

ここでも土方はあえて具合の悪い総司を、知人である宮川殺しに向かわせたわけだが、総司の心はこのときを境に完全に土方から離れてしまう。

宮川との鍔迫り合いの最中、総司は彼から「麻衣という女を江戸に逃がしてやってくれ」と秘かに頼まれる。
最期の願い聞き届けよう、と周囲に気取られぬように約束した総司は、土方の目の前で宮川の首を刎ねた。

麻衣の居場所を探し出した総司は、自分の身元を明かさずに、数日後に必ず迎えに来ると約束する。
しかしその後の池田屋襲撃で激しい喀血に見舞われ意識を失った総司は、医師から労咳であると診断され、病床につく。

いよいよ麻衣を連れ出すと約束した日。
外出などとても許可されそうになかった総司は、いい医師がいるのでそこへ診てもらいに行ってくると山南に嘘をつき、駕籠で屯所を抜け出す。

新撰組沖田総司であると言えば検問を難なく抜ける事が出来た。
駕籠から下りて、どのあたりまで送って頂けるのかと麻衣に問われた総司は、
病み上がりなのであまり同道できないと告げる。
驚くべきことに、麻衣は自分の事を既に沖田総司だと知っていた。
その上で、江戸まで一緒に行きましょうと懇願される総司。

既に労咳と知られ新撰組には不要となった今、最期に江戸へ帰りたいという強い思慕にとらわれた彼は
麻衣と共に江戸へ向かう決意をする。

だが江戸への道中、解放感と喜びに包まれたのもつかの間、気分の悪くなった麻衣のために薬と水を手に入れてこようとした総司がほんの少しの間目を話した隙に、麻衣は何者かに無残に殺害されていた。

大津で一泊し、京にもどった総司だったが、無断外泊にも関わらず近藤や土方は特に咎めだてしなかった。
恐らく山南が総司をかばってくれたのだろう。

総司が暗殺者として使い物にならなくなってくると、水江という腕利きの剣士が「二代目総司」として近藤に重宝されるようになり、その後の新撰組での殺戮に主要な働きをするようになる。
だがまるで斬り殺すことを楽しんでいるような水江の態度に、総司は嫌悪感を抱く。

土方との意見の対立が日に日に激しくなっていた山南は、
単に外出先で足止めを食らっていたはずだったのに、屯所では総長が脱走したと大騒ぎになってしまう。
これが権力闘争を制するための土方の策略だと気付いた総司は、山南を連れ戻しに馬を走らせる。

無事に屯所に連れ帰れば誤解は解けると総司は考えていたが、既に山南の申し開きや弁明の場は与えられず、脱走による死罪という処遇が既に決定されていた。
初めて近藤と土方に激しく反論する総司。
自分が先日大津に無断宿泊したことはとがめられず、なぜ山南だけが脱走の罪に問われるのかと土方に詰問するが、相手にしてもらえない。伊東甲子太郎に脱走を手引きしようかとすすめられるのだが、すべてを諦めた山南は己の切腹の介錯を総司に頼む。

(介錯人は言葉を発してはならないという決まりがあるそうなんですが、ここでの総司は山南切腹の際、「遥かなり わが友よ」と叫びます。もう形式などどうでもいい、山南を斬らねばならない事に対して制御しきれない怒りや無念さといったものがひしひし伝わってくるシーンでした。)

(あと、隊内で支持を集める伊東の処遇を話しあう近藤と土方が、山南の一件で激しく反抗した総司を今後どう処遇するか決める場面があるんですが…、もうどのみち放っておけば先はそう長くない、という二人の態度がちょっとね…読んでて総司が不憫になった…)

体調が好転して、人斬りに携わる機会があっても、以前のようにすぐに仕留める事はなかった。
病状が進行して腕がにぶったというより、山南の一件以来、人を斬るという気力が失せていた。
永倉は総司のそういった心境の変化に気付いており、なかなか仕留めようとしない総司が、逆に相手から返り討ちにあって殺されるのではないかと心配する。

近藤が留守の間に、土方の私情による粛清が続いたが、近藤が戻るのを待ってから決めてはどうかと言っただけでもう総司にはそれ以上忠告しようとはしなかった。もう気持ちが冷めきっていた。

鳥羽伏見で敗戦し、生き残った新撰組の仲間と江戸に戻った総司。
だが江戸の医学所での診断結果は最悪で、周りの病人に感染させる危険が高いとして医学所に置いてもらう事も出来ず、松本先生の別邸に住む事になる。

薩長が江戸に入って新撰組幹部の生き残りとして見つかった場合、総司には容赦ない制裁が加えられると考えた近藤は、せめて人目のつかないところで静かに最期を迎えさせてやりたいという思いやりから、江戸の郊外にある植木屋の納屋に総司を移送させる。

この納屋で完全に寝たきりとなり、孤独と静寂の中でただ穏やかに死を待つ総司の元へ、思わぬ客が訪れる────


ここからの展開が他にはない、ぶっちゃけ最大の見どころというかまさに総司の人生最期の命を張った死闘となるんですが……
そこネタバレしちゃうと面白くないので、あらすじはここまでにしておきます。笹沢血風録、とにかく面白いのでオススメです。

(あ、かっこい土方さんのファンだという方にはあまりオススメできないかも。この本での土方さんは権力欲が強く、性格は非常に黒い)


その他、著者特有の推理というか時代考証も面白かったです。

清河八郎と袂をわかち浪士組を結成した十三人が新撰組の発起人となり、その後隊の中心人物、指導者、実力者になるわけですが、腕のたつ十三人の名前を流派別に羅列し、幹部人事や派閥などについてわかりやすく冒頭で解説。
(まあこれだけ片っ端から本読んでると主だった隊士の名前は自然と覚えてはくるんですが…)ここの解説は大変わかりやすくて良かったです。

大きな派閥である神道無念流と天然理心流がまず対立。
北辰一刀流の藤堂と山南は中間派だったけども個人的に近藤寄りだったので表面上は天然理心流派だったと。

神道無念流 VS 天然理心流(+北辰一刀流)

でも神道無念流派を一掃して以降、北辰一刀流の藤堂・山南は、同じ流派の伊東と共に新撰組を離脱する事になるわけだから、流派の違いっていうのは大きかったんだなー…。

(※ちなみにただ一人の一派である宝蔵院流の原田左之助は天然理心流派に吸収されたそうな。そっか…。でも平助や山南さんの悲惨な結末を見ると、ヘタに派閥とかない流派で逆に良かったのかもしれないな…とか思ったり)



次回は「新選組秘帖」。この本は固い文章で正直読みすすみづらかったんですが、途中で左之さんの私闘活躍シーンがあったのでもう興奮しすぎてそこだけ5回ぐらい読んだという…(原稿やれww)

ここまでもし読んで下さった方がおられたら本当にお疲れ様でした。
もうほんと自分用の資料みたいなもんなので(歴史小説からネタを拾って二次創作出来たらいいなー…とか最近思ってる)あんまり人に読んでもらう事とか念頭に置いてない支離滅裂な文章で読みにくかったかと…。
長々とすみませんでした。

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